

あんパンは、明治時代、東京・銀座で売り出された日本を代表する菓子パンです。
酒饅頭の製法に習い、パン酵母の代わりに日本酒酵母を含む酒種を使って生地を発酵し、や
わらかい生地に餡を包み焼き上げることで、当時の日本人にも馴染みやすいお菓子としての
パンが開発されました。
パンが現在のように一般に広く食べられるようになったのは明治以降、まさにあんぱんが発明
されたことが大きな要因となっています。
それまでのパンは諸外国同様、あくまで主食として製造販売されていましたが、米食にこだわ
る日本人には馴染まず、まったく売れませんでした。
そこで主食にこだわらず、パンを菓子として売り出そうと考えたことが今日のようにパン食が広
がることにつながったのです。
長らく主食としてパンを食べてきた諸外国には、日本の「菓子パン」は、珍しいものです。
パンとは、本来、小麦、水、塩、酵母で作られるものであり、バターやミルク、砂糖などを使った
甘い生地のパンはパンではなく、ケーキの一種であり、あくまでお菓子であると考えられ、パン
とは分けて考えられてきました。
そのため、主食パンと同じ甘みの少ない生地に、あんこなどを合わせてお菓子にするというあ
んぱんの発想は画期的なものなのです。
また、パンと他の素材を合わせる場合は、諸外国では焼きあがったパンを割って挟むスタイル
が基本で、このように別の素材を生地の中にすっぽりと入れてそのまま焼き上げるということも
また、とても珍しいことです。
このように、外国のものであるパンの素材に、日本の饅頭の製法を合わせて開発された和洋
折衷の菓子パン・あんぱんは、あんの種類を白あんや芋あんにするだけに留まらず、後にはカ
スタードクリームを入れたクリームパンやジャムパンなどにも進化しました。
それ以外にも日本には菓子パンと呼ばれるパンが数多く存在しますが、コロネ、メロンパン、い
ずれも日本独自に開発されたものです。
これらの数々の菓子パンの発明と、日本人のパン食の普及は、あんぱんがなければありえな
かったことでしょう。
あんぱんは、日本のパン文化を語る上で最も重要な日本独自の発明品なのです。
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